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統計でみるアメリカ-福祉軍事大国

 この星のジャイアン的存在であるアメリカ合衆国。実は福祉大国だという。

 まず、比較資料として、わが国の平成15年度予算概要を。
 財務省公開資料-PDF ファイル

 続いて、米国政府の資料ファイルにいきなりリンクを張ってみた。
  2003年度連邦予算概要-PDF ファイル(合衆国大統領府の公開資料)
 米国予算案のうち、Table S-2がおおむねの内訳になるので見て欲しい。
 2003年度(2002年10月~2004年 9月)予算では、歳出合計[Total Outlays]2兆1280億ドルのうち、社会保障関係費(社会保障費[Social Securty]、老人医療補助費[Medicare]、低所得者医療支援費[Medicade])の合計は8620億ドルとなり、40%をしめている。わが国のそれが18%にとどまっているのに比べると相当に高比率だ。州政府レベルでも同様の
 絶対的な金額としても大きく、日本の社会保障関係費は19兆円に対して、円換算した米国の同予算額は、約103兆円に上る。人口比を考慮して日本の予算額を2.5倍しても47兆円だから、いかにアメリカが福祉に国家予算をつぎ込んでいるかがわかる。わが国の医療報酬がおそろしく安いこと(日本の医者は大変です、それが証拠によくバイトしてるでしょう)を踏まえても相当な額だ。

 一方で、気になる軍事費[Defense]は3680億ドルで17%にとどまる。もちろんかなりの額ではあるが、割合としては社会保障の比ではない。
 ここに、アメリカが抱える苦衷の現状があるのではなかろうか…

 さらに、合衆国商務省統計局の資料へのリンクを。
 Historical Income Tables - Households [年代別所得格差表-世帯別版]
 このうち、H-2を見ていただきたい。5つに分けた各収入階層の総所得が国全体の所得に占める比率を年次ごとに算出したものだ。
 上位5分の1すなわち20%以内で所得の50%を、5%以内だけで22%の所得を占有する、露骨なまでの収入格差である。(実際はもっと格差があるとも言われる)で、ここでのポイントは下位から5分の4、全体の80%の世帯で占有する所得量の比率が年々低下していることだ。
 つまり、社会保障を得ようとする人口は増えているといえ、所得下位層はおろか、中位層にまで食い込んでいるものと思われる。また、選挙権は平等に与えられているわけだから、大統領や議員の職は彼らの判断にかかっているわけだ。ある候補がこの状況で『社会保障費を減らす』と言おうものなら、まちがいなく落選するだろう。
 加えてアメリカの国是は「自由」「平等」だから、移民を拒むことは原則として出来ず、世界中から職や安全を求める人々がどうしても集まってしまう。その移民たちの多くは、成功するよりもさらに貧困層に組み入れられていくのが実情だ。

 放っておけば、選挙権を持った貧困層(とくに移民)が暴れだす。
 でも、既存の金持ちはこのまま富裕でいたい・・・。

 その解決策が国家予算による、多額の社会保障である。つまり、最強国の市民である栄誉と、何とか生活できる安心で貧乏人を黙らせようというのが、アメリカのもう一つの国策とはいえないだろうか。

 一方の福祉大国といえばスウェーデンを想像されるだろうが、サービスを受ける元手が自国内の金かどうかという点で全く違う。

 スウェーデンは直接所得税率が平均で50%を越えており、社会保障費をそのまま受益者自身に負担させている。では税収も貿易収支も悪化を続けているアメリカはどうなのか。低所得層から得られる所得税は微々たる物だから、受益者負担といってもスウェーデンの比ではない。ながく出超を続ける国家財政を補填するのは何といっても国債の発行に頼っている。
 あらためて、アメリカの2003年度連邦予算概要のTable S-1を見ると、公債費残高[Dept held by the publc]は 3兆5700億ドル(約430兆円)にものぼり、国家予算を大きく超える額にのぼる。(実はさらに多いとも言われ、2000兆円近くに上るとの説も。)
 この国債を買ってやっている最大の得意先は日本だ。日本や諸外国から吸い上げた資金までもを使って、なんとか低所得者層の不満をそらし、かろうじてまとまっているのがあのUnited States of Americaだと言えなくもない。

 国債を他国に買わせる方法としては、誠心誠意で信用を得る方法がもちろん王道である。だか、粉飾会計、軍産複合体、無理がたたった競争政策など米国の経済事情は下手をすればわが国よりも悪い。それでも買わせられるのは、やはり軍事力のおかげであり、世界第2位の稼ぎ手であり、かつ占領中に出来た憲法で戦力の保持すら禁じられている日本なら、楽に押し売りできる・・・。もちろん他の諸外国からも。
 ひどい言い方をすれば、かの国の低所得層にとって軍事力の意義は、戦争を重ねて生活不満への目ををそらせる(そらされる)以外にも、他国から社会保障費を脅し取る道具としての効果もあるといえるだろう。もっとも前者の効果は薄れつつあるが。
 まったく迷惑な連中である。自国民を守ることにかけては必死だから、うらやましいと思えなくはないが、彼らの正義だけを貫くのははそろそろ終わりにしていただきたい。ていうか、しろ。
 かといって、わが国もアメリカに恩がある面はなくはない。国防をまかせっきりにして、経済に専念し、かつ世界の悪役まで被ってもらっている。これだけ儲けている国があまり恨まれないのは、彼らの働き(決して誉められないが)によるものが大きい。それが良いことがどうかは別にして、日米両国は持ちつ持たれつ状態にある。どちらかが倒れるまでは…

 彼らが倒れた後の世界を考え、米国のばら撒いた弊害をいかに立て直すか。日本はそういう立場に立つのかもしれない。かつて植民地解放を迫りつつ、英国側にたって参戦した米国のように。

 以上、すべて公的機関の発表した公開資料を使って説明させていただいた。
 まあ、公的資料ですら、粉飾している可能性は高そうだが…

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