« 沖縄食の日々 | トップページ | 働く=端(はた)を楽(らく)にする。 »

高い目標より、時代の流れに乗れ

 JQA(経営品質協議会)という団体があるらしい。常に新たな高い目標にチャレンジし、まず社員の満足そして顧客満足、社会貢献を果たしていこうという発想だそうだ。近江商人が掲げた三方良しの発想「売り手(社員)良し、買い手(顧客)良し、世間良し(社会貢献)」を現代語に置き換えたものといえ、企業経営の根本は今も昔も変わらない。(どこかの学者大臣みたいに、何でもかんでも横文字にするよりはマシ)。

 理論的にもしごく納得、まさにその通りというしかない。
 だが、一つ気になるのは、拡大再生産がこれからも続く前提でこれらが語られていることだ。
 ある受賞企業の経営者が語られたお話を引用する。

 2001年度には60%の目標に対して実情は30%、02年度は70%に対して50%、03年度は80%に対して70%と、年々理想に現実が近づいてきたように思えた。しかしJQAさんの評価を受けたところ、実情はまだ60%で目標は90%に立てるべきであるとより指摘され、さらに高い目標をめざして改善をはかるようになった…

 こんな趣旨だったかと思う。
 私が恐れるのは、目標を際限なく上げるという、まさに永久的な拡大発想だ。

 この会社の業態は自動車販売である。根本論として、自動車が主力輸送機器であり続けることは保証されないため、自動車販売を永遠に続けても、顧客満足度や売り上げが際限なく上がることはない。
 さらに、仮に自動車販売業が成立する時代だけの変化を追ったとしても、単純に拡大というわけにはいかない。数値的には上がったように見えても、20年後の満足は20年前の延長線上ではなく、違ったものを要求していることが多いからである。
 自動車だと壊れにくさが要求された時代から、オイルショックのような燃費重視の時代、バブル期のインテリア志向、最近は環境志向へと移行してきた。このように、既存の価値観による目標を上げるにしても、通用する期間は初めから限定される。

 やはり、より高い目標を掲げ続けるよりも、時代の流れにあわせることを優先ししたほうがよい。経済そのものが拡大を続ける可能性も低く、これまでの歴史でも好不景気の波があることは証明されていることだ。

 「高い目標にチャレンジ」
 特に造船繊維など、確実な代替製品がでている業界にそのセリフは酷である。商品や業態が時代に合っていなければ、社員がいくら工夫努力しても売上は伴わない。もっとも、シェアが下がり続けようとも顧客満足を徹底重視するから、それにあわせた目標をというのなら別だが、やはり利潤が上がらねば会社は持たない。
 実は、JQAからの指摘話の前に自動車販売会社の社長は、「時代の流れや自然の摂理から生ずる需要に合わせた目的が、理想的、数値的な目標に優先する」とおっしゃっている。先述の指摘内容は社長のご明察を潰すように思えてならない。どうも不安である。
 いや、充分にお気づきの社長がJQAに参加されているのは、隠れた意図があるのだろうか?
 
 また、営業の後輩がやめて行った。
 目標管理制度による縛り上げもあったのだろう。時代の流れでどうしようもない状況を、「目標との乖離」だけで否定されてしまえば、音のあげようもない。
 ともかくも、彼の幸せを祈る。拡大経済主義・(数値)目標優先発想がまだまだ強いのも時代の流れだから、うまく合わせられる日まで待ってみるのが一番だろう。


 ※7月15日未明に修正しました。話の筋がずれる箇所があったためです。

|

« 沖縄食の日々 | トップページ | 働く=端(はた)を楽(らく)にする。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17330/960712

この記事へのトラックバック一覧です: 高い目標より、時代の流れに乗れ:

« 沖縄食の日々 | トップページ | 働く=端(はた)を楽(らく)にする。 »