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フランスで侍魂を見せる-カルフールに勝利

 いま、フランスはリヨンにいる。
 非常にいががわしい題名をつけたのだが、嘘はない。ただし敗者のない勝利であり、私のクレームが異国の地で認められたという話だ。前置きのあと、その話に進みたい。

 フランスに入国してからは、シャルル・ドゴール空港の案内の悪さと、英語を使うと急に機嫌が悪くなる係員の態度にいきなり頭にきていた。
 だが、パリ市中やリヨンの市民に接するにつれて、一人歩きの私に横断する道を譲るバイクの青年や、あるいは買い物カートが接触したことで「Excusez-moi(失礼しました),I'm sorry」と謝る若い女性など、むしろ誠意ある立ち振る舞いが目立つようになる。よく言われる「フランス人は民族的な誇りが過剰」との特徴だけではない側面がみられたのは大きな収穫だ。
 (女性があとで、I'm sorryと付け加えたのは、私が英語しか知らない東洋人(事実どころか、英語もあやふや)とみて、反応がないものだから、より気を使ってくれたのだろう。"Ca ne fait rien"と返せば仏語で「いいんですよ」の意味らしいが、このときの私はこの言い回しを知らなかった…)

 と、フランス人のプライドと気立ての良さを書いてみた。
 ここからは、本題である感動?のお話である。

 そうしているうちに、自分が靴下を1足しか持ってきていないことに気づいた。
 パリ市内では安い店がなかなか見つからず、結局はリヨンの"LA PART DIEU "駅と宿泊先の間にある、世界に展開するフランス最大のスーパーマーケット、カルフールの"LYON LA PART DIEU"店で手に入れることにした。
 買った靴下は安値提供品ばかりで、疑惑の品がこれである。

 なんと、レジに向かうと肝心の値引きがない。
 『例え80円程度の差額といえどもここで引けば、我々日本人は余計なめられるうえに、俺自身も納得がいかない』と、仏語で入りつつ訳のわからん英語で「これは2ユーロ40センツと違いますか?」と主張した。ところが、レジの係員は「すでに特別値引きしてます」といわんばかりに黄色い札を指さし、さらに私が押すと、目の前のカスタマーサポートに行けと言う。
 やむを得ずその場は支払って、待ち合わせ時間を過ぎていたほかの同行者の元に急ぐことにした。同行者達に事情を話してからカスタマーサポートに抗議したが、あらためて値札のバーコードを読み取っても「3.00ユーロ」としか表示されない。
 納得がいかない私は、抗議を傍聴してくれたN先輩に現場をみてもらった。
「これは、近藤さんの言うてることのほうが正しいですな」
 自信を得た私だが、実は面倒くさくなっていた。日本人のような責任感を持たずに細かい仕事のできない連中に、これ以上ものを言うても仕方がないと。
 気を直してデジカメ写真でも残しておこうと、疑惑の売り場を撮っていたら、
「デジカメって撮った映像をすぐ見せられますよね。証拠をつきつけてやれば?」
 おお、これぞ文殊の知恵。単純なことだが、これは行ける。

 あらためて、おなじカスタマーサポートに行き、さっそく下のデジカメ映像を見せた。

 

 すると、女性店員は笑いながら、いかにもやられたというように、初めて内線電話を手にして品名や色などの確認をとった。しばらくして、疑惑の売り場にあった特別値札をもって別の店員がやってくる。
 対応した店員はさらに笑って、「良くやりました」という表情を見せながら返金伝票を書き、差額の60センツを私に返してくれた。

 

 ようやく勝利が確定した私は、「Merci beaucoup」と女性店員にお礼を述べた。
 本当かどうかはわからないが、海外経験の深いN先輩いわく、
「あのおばちゃんは、たぶん近藤さんのこと気に入ったで。ハッキリともの言う男はフランスでは認められるし。」
 確かに、対応の最後あたりは好意の表情に満ちていらした。仏語など全くわからない私だが、そのあたりの微妙はよくわかる。おそらくN先輩の言う通りだとして、フランス国民の一般的感情としては、「自己主張の確かな者を愛すべし、尊ぶべし」という美徳があると思われる。この点、極めていい国だ。

 さらに、N先輩。
「いやあ、近藤さん、フランスしかもリヨンで漫才をみせてもらうとは思いませんでした。サムライを見せつけましたな。にしても、あのおばちゃん、もっと若かったら確実に近藤さんを夜に誘うてきますで。」

 ほんなら、誘われる準備を…って何でやねん。

 参考リンク:カルフールの日本法人

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 追伸:リヨンは親日派が多いと思われる。カートが触れるだけで謝ってきた女性のほか、カルフールの警備員にわざわざ「日本人か?」と聞かれたり、あるいはすぐにエレベータからの退出を先に勧めてくれた少年など。ほかの同行者にも同様の証言を聞いており、何らかのきっかけか、あるいは日本側からの厚い投資があったのかもしれない。
 フランス旅行なら、パリよりもお勧めである。治安も良い。

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