叩き上げが好き。
「これはいい」と思う20歳前後の若手俳優やタレントに共通する特徴が、『叩き上げ』であることだ。スカウトされ事務所(やその他支援勢力)の後押しなどでスター街道を走るタイプよりも、子役や端役から始めて何度もオーディションを受けているような、いかにも下積みの香りがする人が好きなのである。
これは私の幼児体験にも原因があるらしい。
協調性が低くて(横から「今でもそうや」とツッコミが来そうな。すみません...)球技が下手だったり、学校で誉められるような事は一つもなく、いい思い出の少ない少年時代で何が苦痛だったかといえば、勉強もスポーツも出来る同級生の存在だった。『デキる』ことを当然として、有形無形に明示的暗示的に自分の偉さを主張してくる。鼻にかけるヤツ、ほんとうに消えて欲しかった。
もちろん、文武両道でも謙虚な同級生もいて、彼とは今も連絡を取れる状態にある。だが、私の少年時代の経験では、慎ましくて『デキる』人にはそうお目にかかれなかった。すでに、スカウトされるような天才少年少女は「威張る」というのが、動きがたい観念になっている。単純に不快なのだ。いや、私だけでなく周囲も不快だろう。
そういうことを思い出しつつ最近の若手俳優をながめると、本仮屋ユイカさんが気になってきた。
大変失礼ながら、彼女はモデルにもなれるタイプの「美人」ではない。本人も心得ているのか、あくまで演技力で勝負する姿勢が強く、話ぶりを聞いても周囲への気遣いが良くうかがえる。子役から数々の鍛錬を経て、ついにNHK朝ドラの主役を射止めるまでに至った彼女は、若いながら『叩き上げ』の感性をもっているのだろう。
さらに調べてみると、母子家庭で妹と祖母の4人暮らし。家系的には名門らしいが有利とはいえない環境から下積みを重ねた、明らかに苦労人である。いや、彼女の多弁ぶりをみると「明るい苦労人」というべきか。
つまり、自分の力や立場、特性について分をわきまえており、そのなかで最大限以上のパフォーマンスを発揮しようという姿が美しい。なにより『私は偉いわよ』『私は綺麗』などといった自惚れや虚栄心が見られず、5歳の時にあこがれた山口百恵さん以来の感動を覚えたのだ…
以前にもまして、私は「見た目」以外の部分をみるようになってきた。年齢もあるのかもしれないが、話しぶりや行動パターンから、その人の物事や周囲の人々に対する姿勢を注視する癖が強まっている。自分の力や立場におごった人が幸せになった例を見た事がないから、私はそこが気になるのだ。
その点『叩き上げ』の人々は、いきなり得た立場ではないだけに威張るそぶりも見せず淡々とやれるケースが多い。必要以上の自己顕示はいらない、邪魔だ。
若手俳優さんにかかわらず、最近私がお話したくなるタイプの人にはこの系統が増えている。
しつこいようだが、『叩き上げ』は美しい。
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