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今度は嵌められたホリエモン

 おなじみのホリエモンこと、ライブドア社長・堀江貴文氏。急に人気が出てきたのは、大阪近鉄バファローズの買収話からである。
 といっても、どうせオリックス・宮内オーナーあたりに「人気を稼ぐチャンスだ」とそそのかされたのだろう。はじめから1リーグ制と近鉄の有力選手横取りの一石二鳥を狙っていた宮内氏にとって、ホリエモンが救世主的な役割を演じる事で、自分への批判の目が向かないようにする狙いがあったと思われる。もしホリエモンの球団買収が他のオーナーに認められなければ、それでよし。認められなくても、自分の息がかかったオーナーが同リーグ内に存在することになり、事が進めやすくなったはずだ。
 米系投資グループの強引なM&A(企業買収)劇をほうふつとさせる宮内氏の発想。最終的には、これらの動きに反感を覚えた読売(ナベツネ氏ほか)などの旧勢力が、楽天・三木谷社長に名乗りをあげさせて2リーグ制に収拾した構図だ。三木谷氏はあおぞら銀行などを通じてオリックスとも提携関係があり、表には出て来ないくせにうるさい宮内氏を黙らせられるという見込みもあっただろう。ほぼ、この見方でよいかと私は思う。

 結果、ホリエモンはたいした資金も使うことなく、イメージアップに成功した。
 既存メディアの買収に着手したのは、それでつけ上がったからだろうか。

 良いか悪いかはさておき、資本主義は元手(=資本)を出した割合(=株)に応じて事業への影響権(=議決権)が決まる。ホリエモンはこの原則に従って、すでに22.5%のフジテレビ株をもつニッポン放送の株を大量取得(商法上の拒否権をもつ、総株の3分の1以上を既に保有)することによって、大手マスコミの間接支配を試みようとした。
 が、マスコミでもネット上でも指摘されているように(例:伊藤洋一氏のコラム)、ホリエモンは人間の感情とか信頼関係がわからない御仁らしい。
 たとえ制度上は適していても、支配される側の感情とか意気というものがある。私もある大企業の子会社に勤務しているが、創業以来の株主である親会社ですら大嫌いだ。それが、いきなり何の人間関係もなくやってきた人物に「今日からオレがボスだ」といわれても、従いたくないのが心情だろう。
 支配のターゲットとなったフジテレビの日枝会長はそのあたりをよく心得ているらしく、各種マスコミへの応対も極めて丁寧であり、もとの目標の子会社化(50%以上所有)はかなわなくともニッポン放送からの影響力を相殺できる、25%(22.5%以上ということ)以上のニッポン放送株確保はするように方針を転じた。周りからの悪印象は避けるような対応と、自社の社員たちが士気を損なわないようにする戦略である。我が親会社の前社長(現会長)もこうあってほしかった。

 それで気になるのはホリエモンの買収資金調達だが、すでにばらされている。(相手がマスコミ買収だけに、他の同業他社が奮闘したのだろう。)
 リーマン・ブラザーズなどという、資本主義の(特に悪いほうの?)権化のようなところに、一定数のライブドア株式に変換できる権利を担保にした社債(転換社債型新株予約権付社債)を売ったのだ。つまり、自社が乗っ取られる危険までおかして、ニッポン放送株取得の資金を手にした。そのうえホリエモンは信用を固めるためか、個人所有のライブドア持ち株までリーマンに貸し付けていて、高値になったところで売られたというから、リーマンの儲け放題である。リーマンが借りた株は、後で社債の権利で変換した株で返せばよい。仮に社債引き受け金払込み日の24日以降に新株に変換したとしてもどうせ安値になるから、借り株をさっさと売って今のうちに利ざやをとってしまえとの、実にあざとい発想だ。
(後でわかったが、この社債は時価の10%引きで新株に変換できるらしい。どうみてもリーマンに損はなく、得する一方である。参考→産経新聞2月20日付け記事
 
 早い話がホリエモンはリーマン・ブラザーズに嵌められたと見える。
 
 リーマンにとっては、買収がうまく行ってライブドアがフジテレビの影響権を把握したとしても、担保としてついている株式引換え権を行使してライブドアを支配してしまえば、ニッポン放送・フジテレビともども自分たちの影響下に入れることができる。
 逆に買収劇が失敗したとしても、先述の通り、高値のうちに(ホリエモンに先借りした)ライブドア株の空売りに成功しているから、しっかりリターンは得ているわけだ。

 まあ、こんなわけでリーマンには損はない。仮にリーマンが新株を取得すれば総株数が増えるわけで、1株1株がもつライブドア社への影響力は減り、さらに株価は下がる。ということは、逆にフジテレビが安値でライブドア株を買う可能性があるわけで、狙った獲物から返り討ちされる危険もある。
 
 では、ホリエモンの目指したものは何だったのだろうか。
 もしこの危険を事前に察していたのなら、賭けに出て、本気でインターネットと既存メディアの融合を考えていたのかもしれない。察していなければ、ただの欲ボケ・アホやという結論だ。

 同世代を代表する市場経済の申し子。その去就を見守りたい。いまとなっては、かわいそうになってきた・・・アホである。
 あぶく銭はあぶく銭だ。商品を生産したり、あるいはサービスを売って積み重ねた財産ではなく、借金に借金をかさねた金融上のやりくりで作った実態の伴わない資金である。いってみれば仮想経済のなかでの金持ちでしかないホリエモンがその自覚なく、50年の歴史があるテレビ局・ラジオ局を手に入れようとしても、分がつりあわない。

 そういった連中が世の中をかきまわしては消えていく。まあ、しっかりと地球環境を破壊しながら巣食うている大金持ち(石油屋など)に比べればよっぽど可愛いものだが・・・

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コメント

はじめまして♪
読んでて楽しいので登録させて頂きました。
よろしくお願いします。

投稿: rinapi | 2005/04/25 03:46

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