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元阪神応援団長逮捕に思う

 私は阪神タイガースのファンだが、甲子園球場で観戦する時はライトスタンドに席を取らないようにしている。応援を強制されるわ、間違っても試合を見られる場所ではないからだ。
 と思っていると、近頃、こんな事件が世間を騒がしている。

 読売新聞)阪神応援歌事件、中虎元会長ら逮捕
 毎日新聞)阪神応援歌:「中虎連合会」元幹部らが著作権者と偽登録
 デイリースポーツ)阪神応援歌CDで詐欺

 テレビ朝日の報道によると、甲子園ライトスタンドに自由席料金を払って入場すると、今度はその付近に陣取っている応援団からさらにショバ代を請求されることがあるという。もっとも、友人知人にかなりの数のトラキチ・阪神ファンがいるが、そのような話は聞いた事がない。しかし、充分にあり得る話ではある。

 あり得ると思う点は、今回の応援団幹部が暴力団出身であることだ。どこの球団でも一定数は入り込んでいると想像できるが(全てがそうではない、念のため)、特に阪神・巨人などの人気球団は生計(彼らでいう「シノギ」)を立てるには格好の対象である。ファン一部にとっては球場で応援の臨場感を味わうこと自体が価値とされるから、応援団のそばにいる権利だけでも売り物になる。すなおに楽しみたい感情、騒ぎたくなる社会事情がさらに商品価値を上げている。
 それが、今回は応援歌の権利まで主張(強奪)してしまったというところか。

 以下、一部の方々にとっては異国の事情に思えてしまう内容になりますが、よろしければ付き合ってやって下さい。

 今回の阪神応援団のように、暴力団新法の適用以降のヤクザ者は、かえって一般人(堅気)に手厳しい収入源(シノギ)を得るケースが増えたらしい。
 不動産・株取引、古くからある芸能関係など、さまざまな正業に転換するのはまだいい。が、法の抜け穴をつかって脅迫まがいの取引を行う経済ヤクザ、卑近な例では中高生の不良や暴走族を使ってかつあげの代行や薬物の販売を行うとか、IT系ならワンクリック詐欺とか、真面目に暮らす一般人から不当に財を巻き上げる輩が後を立たない。
 
 最近のヤクザ者は、任侠者と呼べる人材がほとんどいなくなったらしい。つい10年ぐらい前までは、私の出身地である関西~山陽地区の一部では、古きよき任侠ヤクザがつい最近まで残っていたようだが。
 高校生ぐらいのころは、暴力団が暴走族を取り締まっていたぐらいで、むしろ益になる部分が少なくなかった。それに、公の権力に代わって、交渉力・政治力の弱い中小企業の利権を守る役目を負っていた面もあり、私自身も今ほどヤクザ者に対する印象は悪くなかった。
 このあたりは、故・高山登久太郎氏のホームページをご参考にされると幸いだ。広域暴力団といわれる組織の元総帥が、どのような考え方を持っているかがわかる。

 ヤクザいや任侠道の始まりは、どうしても人間社会が生み出すあぶれ者、暴れ者、そして被差別者などの生活に困った者たちが結託した利益集団といわれる(西洋でいう初期のマフィア)。貧しい状況から脱出しようと(それだけではないだろうけど)個々で無秩序な暴動を繰り返して周囲に嫌われるよりは、むしろ堅気者がやりたがらない役割(まさに暴力的な作業=自警とか治安の類)を担って、共存共栄を図ったほうが良いと。
 おそらく、平安末から鎌倉の農村を守る武士団とか室町時代の惣村自治組織における自警団などは似た存在だろう。武士団や自警団が、村々からはみ出た暴れ者や被差別者をうまく吸収していたと考えれば自然である。
 現代(といってもここ10年ぐらい前の話)に直すと、民族や居住地域などの差別に困った者、代々続いて貧困から抜け出せない者、あるいは札付きの暴れ者などが、暴力団・ヤクザに吸収されることで秩序を得て、無差別に暴発するよりはましな状況を作り出したというところか。最善・次善でもなく、なんとか三善?ぐらいでやっていたような。(日本テレビ系のドラマ・ごくせんなども結構参考になるかも。宇津井健さんが演ずる主人公の祖父で会の三代目・黒田龍一郎に義理と人情・弱者保護で動いてきた様子が描かれている。)
 つまり、一般人から暴力原因を隔離するための装置が任侠集団であるともいえる。一般人を傷つける連中は最低の最低の最低、あからさまに憎むべき存在で、それこそただの暴力団だ。

 そこで、先述の高山氏が健在であった頃の発言が効いてくる。
 「近頃、ヤクザが増えて困る」

 非常に重い言葉で、ある種の社会責任として任侠道を通していた人の切なる感想だ。暴力原因は消えずとも、やむを得ず発生する程度の数に収まって欲しいのだ。
 高山氏も身罷り、さらに収容先がなくなった暴動(暴力団構成員)予備軍のなれの果てが、阪神応援団に巣食う連中であったり、暴走族に悪事を働かせたり子どもに薬物を売りつけるような悪魔である。
 
 やはり、そういった連中の発生を出来るだけ抑えるのが、社会改善とか政治の役目である。今回のように事が起きては警察の暴力団担当(マル暴)が取り締まるという一時対策以上に、根本対策が必要だ。
 だが現状は、小泉氏や竹中さんが行き過ぎた競争政策をとる以上、より弱者は増え、より暴動予備軍は増えるだろう。「あいつはヒドイやつらだ」と首かしげているだけでは終わらない。

 まずは自分の周りからやってみる。極端な弱者やはじかれ者、不遇に過ぎた存在を作らない事だ。自分が儲かれば社会や周囲に還元する。自分が指示をする立場(会社員なら、部下特に派遣社員や規模の小さい請負発注先などに対しては)であれば、相手の主張を良く聞くこと、裁量権を尊重すること。そして無理をさせすぎないこと・・・かといって、優しくしすぎてなめられたりサボられ過ぎても困る。別の意味で危ない。

 要はバランスが肝心だ。

(そういえば、専従職員でもないのに労組活動を盾にして、ほとんど自席に居ない先輩=サボり?がいる。暴力こそないが、団結力を背景として既得権を不当に主張している点では、逮捕された阪神応援団長と大して代わらない。弱者連合の意義を失った労組と、任侠心を失ったヤクザは似ているかも。あ、この先輩もトラキチだったような・・・オレまじで阪神ファンやめようかな・・・泣)

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コメント

なかなかおもしろい意見ですね。
共感できる点が多いです。
あぶれものを作るような社会はやはりよくない。
まずは個人レベルで人にやさしくしたいものですね。

阪神ファンやめてぜひ千葉ロッテファンになってやってください。

投稿: もつ | 2005/03/10 20:22

あぶれ者が全くでない社会もどうかと思います、
逆に人々がだらけてしまう恐れが強いから。

真面目に、自然の法則に謙虚に生きてきた人の多くが、
幸せと感じられる世の中が良いのではないか。
絶対と言い切れないけれども、そう思ってやみません。

して、おすすめの千葉ロッテですが、
ファンが人工的に作られているような気がして、どうも不安ですなあ・・・

投稿: 筆者(こんだぃ) | 2005/03/11 23:29

実に興味深い記事ですね。
いろいろと考えさせる内容
ありがとうございます。

僕もあなたと同じトラキチです。
ファンの中には不届き者も結構
いて、同じファンとして
心が痛むこともよくありますが、

やめようとは一度も思ったことはありません。

多くは、善良な熱い阪神ファンである
と信じているし、周囲と自分は関係ない
という考えに立っているからです。

伝統的なチームカラーも大好きです。

投稿: | 2010/09/06 17:11

記事から5年半経ったにもかかわらず、コメントありがとうございます。

任侠者に限らず、裏向きな人々が社会を支えていたり、
逆に表向きな人が、巧みに弱者から搾取していることは、
ありがちなことです。

今年のタイガースは、投手能力の落ち込みがありながらも、
良く踏みとどまっている観がありますが、
「選手年俸を上げたくない球団が勝ちを渋っている」
との見方をする人が少なくありません。
とはいえ、あの暗黒時代を覚えているファンならもっともなことです。

並列するのも変ですが、ヤクザにせよ球団にせよ、
一回失った信用はなかなか回復しないでしょう。
結局のところ、どんな稼業でも、
無信不立の基本は同じことかと思います。

投稿: こんだぃ=筆者 | 2010/09/06 17:59

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