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ホリエモンが教えてくれたこと

 本人の意思はわからないが、日本人はホリエモンに感謝したほうがいいかもしれない。

 まず、ホリエモンが教えてくれたのは、資本主義の単純なルールである。少しでも多く元手を出した(株を買った)人間が口を出せるのが資本主義ということを、ニッポン放送の買収という、わかりやすい形で示してくれた。

 その影響か、政府自民党は、来年に適用を予定している会社法改正の恐ろしさに気づいたそうだ。(というか、私自身も改正の概要をいまさら知ったぐらいでして・・・笑)

 外国株式対価の合併、1年凍結・会社法案で自民部会(日本経済新聞)
 三角合併、一時凍結…そして霞ヶ関の深謀 R30::マーケティング社会時評

 会社法改正で危ぶまれた点は、株式交換による買収の際、消滅会社の株主への渡す対価として外国株の使用を認める点だ。株式交換買収は改正後も日本企業同士にしか認められないが、外国企業が日本法人を設立すれば、実質上買収が可能になる。(外資、その日本法人と被買収企業というわけで「三角合併」と呼ばれる)

 いまの時点で、ホリエモンが強引にでも自身の事業を広げたいわけは、この株式交換買収の拡大をもくろんでのことかもしれない。この会社法改正までにライブドア(とは限らず、自分が把握する持株会社)の株価総額を大きくしておかねば、M&Aを仕掛けるどころか、逆に外資系の大企業に飲み込まれる危険性がある。

 株価総額を高めたければ、様々な人間が株を買いたくなるような事業を傘下に持つのが得策だ。その標的がニッポン放送=フジテレビ系だといえる、株式相場の主役である外国人投資家にとって日本のマスコミを操作できるうまみは大きいからだ。

 多少強引な買収劇や経営方針の影響で視聴率が下がろうと、全国ネットのラジオ・テレビを握っておけば、一般庶民を己に近い考え方を広めるのはたやすい。日本の政治家にとって、いや日本国民にとって、自然風土や文化のまったく違う人々が、テレビ・ラジオを通じて自然と報道だけでなく、バラエティやドラマのせりふなどさまざまな手段で人々を感化・洗脳してゆく・・・

 だが、外国人投資家がマスコミ株を得ればよいといえばそうではなく、外国人がマスコミ企業の議決権を持つ(=株式名簿に掲載される)比率は20%までと放送法で制限されている。
 この抜け道として、外資系はマスコミの経営権を取得する日本企業に影響力をもてばよい。
 たとえリーマンとかの(悪)賢い外資にだまされようと、ホリエモンがこだわったのは「マスコミに影響力を持つ会社」としての株価上昇とも考えられる。

 せいぜいホリエモンがこの程度の保身しか考えておらず、ライブドアを外資企業の日本法人のようにしてしまい、株価を上げてくれた外国資本に事実上のマスコミ経営権をくれてやるとすればどうだろう。

 世間の変化に鈍い政治家にも、マスコミを握られる怖さには震えが来たようだ。
 それで、株式交換買収だけでなく、外国人による放送企業の間接支配制限まで考えるようになった。


 もうひとつホリエモンが教えてくれたのは、資本主義が万能ではないという現実だ。
 金で文明(生産物や技術)は買えても、文化(自然や風土、習慣)は買えない。

 インターネットとの融合とはいうが、すでにニッポン放送はネット上での放送配信を本格的に始めているなど、いまさらライブドアのノウハウをもらうメリットは薄い。
 とすると、本業のラジオや傘下のポニーキャニオンを含めた、コンテンツ販売権の獲得を狙っていると考えるのが素直な所だ。だが、肝心のコンテンツを生み出す社員たちにホリエモンが嫌われていては、新しい商品が生まれる可能性は下がり、既存コンテンツの販売権しかうまみがなくなる。
 かりに、堀江ファンを対象としたコンテンツに切り替えるにしても、これまでのニッポン放送系の番組・コンテンツを好んでいたリスナー、視聴者は次々と離れ、結局新規顧客の開拓に余計な費用がかかるだろう。

 もともとその企業がもっていた「文化」を損なってしまっては、買収する意味がない。10年後はネットが放送を凌駕するというなら、ネットだけで勝負して、かつ既存のコンテンツに執着せねば済むことだ。

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 今回は、ライブドアのような小さな企業がマスコミに手をつけてくれるという、もっとも政治家を刺激する格好になったのが良かった。
 R30さんの言うような、

「エクソン・モービルが新日本石油+コスモ石油+出光興産の国内勢まとめていただき」とか、「GEが三菱重工と石川島播磨など防衛庁下請けを全部お買いあげ」
という形になってしまえば、技術も人も、みな欲しいところだけ吸い上げられ、残ったのは合理化によって大量解雇された日本人と、それに伴ったさらなる大不況といった状況は免れがたい。実に怖いことになるところだった。

 小泉さんも竹中さんも弱みを握られて、かつアメリカの共和党ネオコン系(っていうか、石油資本家さま?)に立場を守ってもらっているから、「じゃあ、日本企業はいくらでも好きにして」という気持ちだろうか。
 平成の井伊直弼というのか、目先のものを守りたいがために、肝心の国や風土を守ることを忘れてしまっては意味がない。自然と変化するのならともかくも、急激な人為的な変化は、多くの人を不幸にしてしまう。
 世界のバランスを考えて日米同盟を強化という発想は理解できるが、60年前の敗戦を引きずって従属を続けるのはいかがなものだろうか・・・。
  
 話が広がりすぎるので、このへんで。

 その他参考リンク:もう1つのライブドア騒動 外国株式対価による合併が1年凍結
          成果主義を自分の味方につける法(山口俊一氏)より

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コメント

堀江社長は、2000年にオンラインサービス最大手のアメリカ・オンライン(AOL)が、売上高で自社の5倍という米総合メディア大手のタイム・ワーナーと合併(吸収)したことが頭にあるんじゃないでしょうか。
新興企業でも、メディア王になれる、と。

ただ、合併後の業績は、巨額赤字を出すなど、芳しくないようですが。

「俺なら上手くやれる」という自信があるのでしょう。

成否はともかく、今の時代、このように大きく社会を動かす人は貴重です。

参考http://www.sankei.co.jp/mov/db/2000a/0112backup_tw.html

投稿: 山口俊一 | 2005/03/19 09:16

コメントくださり、ありがとうございます。
ソフトバンクグループへの貸し株話が入った所ですが、堀江さんが自分の持ち金で(他者からの影響を受け得ない形で)仕掛けたのならここまでは嫌がられなかったかもしれません。やり方が穏健といえるAOLが芳しくない状況ですから、どうも疑わしいですね・・・

とはいえ、おっしゃる通り、既に社会を動かした(問題点を浮き彫りした)実績は評価できると思います。

投稿: 筆者(こんだぃ=ろく=近藤大介) | 2005/03/25 00:11

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