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今すぐ民営化にこだわらんでも。

 実は勤め先が旧郵政省(現総務省)の監督をうける企業であり、それほど遠い話でもないから、もう少し考えてみることにする。

 とにかく議論を焦りすぎ(あるいは遅すぎ)かと思う。
 いい記事があった。

  郵政法案否決:どうなる民営化?--衆院選の結果次第(毎日新聞 8/8付)

 現状では国営の制約もあり、預かった貯金を利回りの高い民間運用にまわし難い。
 国債や財投債(=公共事業向け財源そのもの)などが中心であり、自由競争の世界である民間事業への投資は極めて少ない。民業圧迫といわれて当然だろう。

 お金は循環するものである。
 預貯金にしろ保険にしろ、契約主を利子や運用益だけではない形、つまり預けられたお金の運用によって彼らの生活をも潤す形が理想だ。
 愛媛県在住の人であれば、道路や橋の公共事業に加え、みかん農家や三浦工業(ボイラー製造大手)とか大王製紙など、地元の事業主・企業にも融資・投資されるのであれば喜ばしい限りだ。ただ都道府県単位での金回しは地元の伊予銀行や愛媛銀行がやっているはずで、全国規模の郵貯や簡保がやるべきことではない。元々「国営」といって集めたお金だから、国家レベルの事業で契約主たちを間接的にも潤す形を目指すのが順当と言える。

 ところが今の状態では、運用先が日本政府の恣意や政治家の圧力で決まる部分も少なくなく、郵貯や簡保で集めたお金が効率よく配分されているかは疑問だ。それに、公共事業というそもそも運用益の出ないものの財源に使っているにも関わらず、税金を出してまで利子を保証しているという矛盾もある。

 以上のような、公共事業向けがほとんどという運用先の偏り(民業圧迫)と利子保証の矛盾を一挙に解決すべく考え出されたのが、郵便貯金と簡易保険の民営化といえる。(表向きには)

 ただし、その資金の多くは「日本国営です」といって集めたもの。再来年4月にいきなり民間開放というのでは、説明不足かと。
 加えて、契約主に高所得層や都市在住者が少ない郵貯・簡保の民営化をはかり、300兆円を越える資金を民間企業による運用にまわしたとすれば、契約主とは関係の薄い業界(都市型、かつITや各種サービスなど地方とは関係性の薄い業界)を投資先としやすくなるだろう。

 そこにきて、気持ちが悪いのは、先のブログでも書いたように、郵政三事業(特に貯金と保険)の民営化を、日本国内以上にアメリカが待ち望んでいる点だ。
 米国系が運用権をもてば、郵貯・簡保の資金が米系企業の株式および債券やアメリカ政府の大借金を穴埋めすべく米国債の購入にまわされる可能性が極めて高い。要は契約主とはより遠い所にお金が飛びやすくなってしまう。
 ひどい話、日本国営と思って預けた金が米国に飛ぶという、合法であっても信頼を裏切る格好になる。

 ともかくも、いきなり民間開放となると、一方的な富の集約になる恐れがある。

 単純民営化以外の策はいくらでもあると思う。
 もともとが「国営ですよ」といって預かった金なのだから、いきなりアメリカさんもスイスさんもどうぞご自由に取っていってくださいというのでは、説明がつかない。民業圧迫とアホな官僚による公共事業投資の偏重が問題であれば、まずそこを解決すればよい。

 私なりの対案をだすとすれば、郵便は完全民営化したとしても、国営として預かった資金をもつ郵貯・簡保事業はそのまま公社組織を継続する。(小泉内閣案では国が3分の1以上の株を持つ(=拒否権を持つ)民営株式会社となるが、間違いなく公益を追求する発想は消えるだろう。) 内容としては、今までどおりの国債や財政投融債運用も行いつつ、民間企業に対しても直に融資するなど、日本国内を中心とした民間への直接投資事業を強化する(もちろん、外資に対しても徐々に増やすべきだ)。
 そして、「公共事業にもお金をだしてますから、金利はやや低めですよ。そのかわり民間運用部分が少ないので変動リスクも少ないです。」ということを正直に説明しておく。税金で利子を出すという矛盾は先んじて避けたほうが無難だ。
 続いて、公務員登用による運用や営業発想の硬直化を防ぐ方策。中途採用を日常化し、公務員身分であっても人材起用は民間発想を押し通す。むしろ、富士通などで大失敗した成果主義・目標管理制度を導入したほうが良いのは郵貯・簡保事業かもしれない。
 ただし、富士通版?を一切見習わない基準が必要だ。実情を度外視した目標であっても達成しないやつは個人単位で査定減とする余裕のないやり方ではなく、チームワークを乱して怠けているごく少数の「公務員」を首切りする理由として導入すればよい。彼らに足りないのは国民への責任を果たすという、緊張感である。

 「いや、生ぬるい。徹底した民間運用へのシフトが必要だ」として完全民営化を目指すのなら、民営化を前提にして国民が資金運用策を再検討する準備期間が必要だろう。小泉内閣案でいう再来年4月開始では短すぎ、340兆円の影響は大き過ぎる。加えて、現時点で経済事情の苦しいアメリカが、必要以上に運用権(や資産そのものの所有権)を占めていく可能性が高い。
 急いでこの時期にやるのは避けるべきかと。やるならもっと後か、20年前にやっておくべきであったか・・・小泉さんをもっと早く首相にすべきであったか。

 というわけで、民営化も一つの策ではあると思う。この時期だから反対なのだ。

 このままだと、一方的に弱肉強食である。

 自由競争っていうけど、人工的に競争状態を作っても勝負にならない。
 国営の温室で育った郵貯や簡保を野に放ったとして、手練手管の外資と戦えますか?さっさと食いつぶされるのがオチかと。競争のなかで生き残る発想をある程度育ててから完全民営化するか、あるいは部分的に民間に移管するとかして、影響力を小さくするかしないと。まあ、あまり保護してもどうかと思うけども。(部分的移管ってのがポイントで、民主党案のように単純な資金規模縮小では公社の業務規模縮小になってしまい、今度は職員の雇用問題が生じてしまう。)

 そこまでして今すぐに民営化したければ、はじめから海外を含めた金持ちと運営する国会と内閣でやれって。民主主義なんて掛け声は捨ててしまえ(笑)。


 もともと国営の郵便貯金とか簡易保険などという中途半端なものを作らねばよかったという意見もあるだろうが、過ぎたことを言っても始まらない。「国営」といって信用させて預かった結果がある以上、慎重に成らねばなるまいに。

 このところの流れをみると、郵政民営化を唱えてきた小泉さんが、利害一致したアメリカに担がれたようにしか思えなくなってきた。40代の小泉さんが首相になって実現してれば良かったのに、遅すぎる。経済状況が悪くなって必死のアメリカと仲良しでやられてもねえ・・・
 自由競争で郵貯・簡保資産を運用…って以前に、また長銀とか新生銀行みたいに、日本政府側から進んで資産移管をしてしまいそう。「買い手がいませんでした」とかいうて。うそつけ、三井住友や三菱とかあるいはスイス・UBSとかの欧州系も欲しがるで、何で毎回米国系やねん。そないなったら、どこが競争やねん。公然?の談合やな。UFJだけは、さすがに三菱とくっつけたみたいやけども。

 毎年数十兆円単位で米国債を買って、アメリカの借金の肩代わりをするようになって長い。そのいうえに、富を奪われるきっかけを作られようとは。いつまで敗戦国の立場をとれば済むのだろうか。もう60年も経ってるで・・・
(もちろん、米国債の購入には貿易収支の均衡をとる目的もある。本当ならば生産・製造物を買って均衡をとりたい所だが、競争力を失った米国製品については数十年前のような日本国内需要はなくなっている。電機・自動車をはじめ、IT系もアジア勢の追い上げが激しい。農産物さえ遺伝子組み替えでミソをつけたし。
 理論的に安全だとしでも、文化とか土地土地の気分を大切にしてモノを売らないとねぇ。押し売りに思われた時点で商売はアウト。さすがにこの民営化では表に出ないようにしてるけど、じわじわと来たいコメントを出してしまって、日本のマスコミが蓋をしていられるのはいつまでのことか。)

 いや、さらに深読みすると、事実上、敗戦国(加害国ではない)としての賠償金を払っていないわが国の歴史を顧みて、小泉さんは「郵政資産の民間開放=外資を含めた運用権奪取の許可」を引換えに・・・

 書きすぎた、これ以上書くのは止めて置こう。わかる人だけわかって欲しい・・・。


 本日、60回目の終戦いや敗戦記念日を迎えた。
 先の戦争で命を落とされた、全ての先輩たちのご冥福をお祈り申し上げる。

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