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「改革バカ」の正体とは?

 サントリーウィスキー角瓶のCMで、鉄道ファンとしても知られる名優・原田芳雄氏がいい味を出している。

 変われ変われの
 大合唱があ
 耳に五月蝿(うるさ)て
 しょうがない

 と、角瓶をロックにしたグラスを持ちながら、原田氏が唄いまわす。

 さすがはサントリー、いいセリフで迫ってくる。
 今では電通や博報堂が中に入っているのかもしれないが、その昔は開高健や山口瞳などの後に有名作家になる宣伝部員を有していた会社だ。なおセンスがよい。

 話がそれてはならない。
 ここで問題にしたいのは「変われ変われの大合唱」の部分だ。

 どうも、私や第二次ベビーブーム世代を含む、いわゆる1970年代生まれの人間は、どこかで自分を追い詰めていて、その理由もなく「変わらなければ、変わらなければ」と自問自答している傾向が強い。
 これが自問自答であれば、他者に迷惑をかける心配はないのだが(自殺の恐れはあるが)、その親の世代である団塊世代(1947年~1949年度を中心とする)であれば、本当に「変われ変われ」と他人に吹聴、いや強要するケースが少なくない。早い話がそういう世代の親だから、1970年代生まれは今もなお、苦しんでいるといえるのだが。

 では、団塊世代がどうして「変われ変われ」を叫ぶのか。
 もう言い古されてきたことだけど、簡単にまとめてみる。

 1.多すぎる同世代から抜きん出るために「変わる」癖をつけてきた。

 2.就職した頃(1970年前後)=下積み時代にはすでに高度経済成長の道筋がついており、さらに業績を伸ばせと先輩たちに強いられ続けた。

 3.下積みのない職業についたものは、「変われ変われ」と年の上下に関係なく部下たちを激励、いや叱咤することからその社会人生活が始まってしまった。若いうちに身につけた「変われ変われ」と締め付ける態度自体は変えられない。(苦笑)

 早い話、3.が大問題なのである。

 下積みのある人々ならば、指示を受ける立場での動ける加減や庶民感覚などを味わってから、管理職や指導者、経営者に上がっていくわけだ。つまり、さまざまな視点のバランスをとりながら、「変われ変われ」の欠点を補うことができる。
 しかし、下積みがなければ、そのバランスがない。発想や指導は自分で、成功しなければ実行者である「下」が悪いんだと思えてしまう。「下」を切ったり入れ替えたりして徹底してサディズムを押し通して、うまく言ったときだけ自分の手柄にする、なんて発想になりやすい。
 しっかりした帝王学などを学ばないままに、下積みのない社会人生活を始めた方々はまことに残念ながらそういった罠にはまり、「下」には陰で嫌われ続け、大した業績も出せないままに引退されるのが普通のようだ。「下」にすればなにも良いことはない。

 表題の「改革バカ」は、下積みなく指導者や経営者になった方々に”稀に”みられる。

 もちろん、改革が必要なときがある。
 だが、周囲も自分も良くならんとする目的があってこそ物事は変えるもので、単に己の業績や手柄欲しさに「変化」を求めるのであれば、まさに「改革バカ」である。「改革」のなかには、「改悪」だってあるのだ。必ずしも「変わる」ことが良いとは限らない。

 ある会社で、社長だが副社長だかが、
 『明日までに改革案を出して来い』
 と各部署の管理職をどなりつけて、徹夜出勤させてしまうことがあったとする。
 
 問題点があって「変える」のならいいが、そこまでして「変える」をたたき出した場合、検討期間があまりにも少ないことから「改悪」を引き起こす可能性もある。
 もっとも、だらしない管理職を引き締めるために、わざと試してみたというのならわかる。もし、深謀遠慮なく徹夜出勤に追い込んだというのなら、まさに「改革バカ」ではないだろうか。


 とはいえ、残念ながら「改革バカ」が経営者にいる会社でも、十分に持ちこたえるケースがある。管理職以下が経営陣の「無茶」な発想をしっかり骨抜きにして、現実化してしまうことがあるからだ。

 『売上高を倍に』
 時代の流れの後押しがあれば可能だが、そうではない時は、合併して事業拡大するとか利益率を無視して生産増大・営業拡大をしてみればよい。

 では、わかりやすく…

 『ブログのページビューを倍に』
 リンクを貼る数を際限なく増やし、宣伝する。

 力技ならできないことはないのだ。
 ただし、その源である資金や労力には限りがある。

 特に後者の「労力」の限界は下積みがないとわかりにくい感覚であり、はじめから「上」にいる方々は『やれるだろ』と、平気で指示を出してしまう。ねぎらいの言葉をかけたり、気をつかっていればまだいいが、「下」にいたことがないのだから、そんな心配りは一切期待できない。
 彼らも不幸なのだ。本音では「上」にいたくないかもしれない。能力が追いつかねば威張り驕るよりほかない。
 で、普通に賢い人なら「下」がバカに見えてしまい、やはり態度が大きくなる。
 結果、部下たちが離れていき、より現状把握ができなくなる悪循環に陥る。
 
 本当に賢い人であればちょっとへりくだって、より賢い部下に任せるところだろう。
 もし俺が経営者とかリーダーの立場になれたなら、そういった態度をとりたいところだが、下積みから始めている以上、下積みなく社会人生活を始めた方々からはすでに遅れている。


 そもそも、下積みをさせずにリーダー層を作る組織が存在すること自体がおかしい。
 
  警察での国家Ⅰ種合格者の取り扱い
  キャリア官僚が地方庁舎に行くケース
  親会社社員が子会社に行くケース
  名家の子弟が、格下の企業団体に就職するケース
  一部インフラ系企業における、旧帝大出身者を優遇するケース

 枚挙に暇がない。
 先述のように帝王学が施されていたり、本人が謙虚であったり、あるいは視野を広げた研鑽をしていればよいのだが、全てがそういう人材であるとは限らない。
 幸いにして試験で受かってしまったり、親などのコネを使えてしまった結果、下積みや下積みに変わる研鑽を経ずに「上」に上がってしまった方々は随分いるのではなかろうか。どうか、一部であると願いたい。


 滅多なことでは存在しないとは思うが、
 純粋な「改革バカ」が身近にいるのであれば、非常に不幸なことだ。
 お悔やみ申し上げます。

 もし戦国時代なら、さっさと毒を盛ったほうがいい。
 あ、織田信長公もそういう扱いを受けたのかもしれず、
 結構、喜んだ人も多かったんやろう。

 以上、お粗末でした。

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コメント

私も下積みが短く、リーダー層の役割を拝命しています。

さて、それはさておき、
ずいぶん前に、情報の捉え方について
いろいろ教えてくださったことが
なつかしく思い出されてきました。

僕は憶えているけど、
きっとコンドウさんはないですよね。(^^;

蛇足のみでした・・・。

投稿: MASA | 2007/03/11 12:15

>MASAさん

お笑い基準以来です。
そんな話もしたかもしれませんが、
すでに貴君のほうが、人生の意味では先輩です(苦笑)

地方の中小企業でも、
いきなり東京の大学を出た人材が入ってきた場合、
『賢い人だ』と単純に判断されて、
いきなりリーダーにさせられるケースはあると思います。
MASAさんの立場はこれに当てはまらないでしょうか?

『いじめ』問題が叫ばれて久しいですが、資本主義以前の農耕社会、つまり子ども社会がそのまま大人の社会に連動していた頃は、一人の驕りや突出を避ける機能として、働いていたように思います。
もっと言えば、いじめられること自体が下積みだった。逆にいじめる側も周囲に認められた立場を保持する必要があり、自らがの失態で立場から転落すれば逆にさらにいじめられる状況になってしまう。おそらく、お互いが抑制機能だったのかと推察します。
今は子どもの社会が切り離されていますから、子どもがもつ残酷さと陰湿さだけが残ってしまい、社会問題化しているのかもしれません。

曲がった見解ですが、考える余地はあると思います。

投稿: こんだい=筆者 | 2007/03/11 14:21

ちょうど逆のことを書いた記事がみつかりました。
http://news.goo.ne.jp/article/nbonline/business/nbonline-120435-01.html

確かに日本企業は権限委譲が遅い。
ただし、経営者は若ければ良いものではなく、
かといって老いたからといっても、
今回の記事のような問題点があっては意味がない。

要はバランスです。
ベストは、部分権限を一括委譲できる器量をもった経営者の存在かと。

投稿: こんだい=筆者 | 2007/03/11 15:54

ごぶさたしてます。
まあ、あれですかね。
敗戦により戦後アメちゃんから、陰に陽に密やかに強要された資本主義版文化大革命の余韻でしょうか。。

しかし、アメちゃんの戦略はほんとうまいですな!!

小さな力でドミノ倒し的にガンガン勝手に進展していく。

まあ、気づいてもうたら終わりやけど、気づかんかったらバンバンやられてまう。
団塊の世代を洗脳できたのがアメちゃんの勝因なんやろね。

投稿: まつり | 2007/03/11 21:05

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