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ゆずの故郷にて-横浜市岡村

 横浜という地域は懐が深い。
 大の幼馴染も、もっとも嫌な先輩(すでに退職)も、みな横浜市民である。

 友人と「ゆず」の話になった。
 そういえば、彼ら2人も横浜市磯子区は岡村の出身という。
 前の日曜日はヒマだったので、ぶらぶら歩いてきた。


 上大岡で京急の快速特急を降りて、北東方向にアップダウンを繰り返しながら歩いていった。

 …ちなみに京急のテーマソング「赤い電車」は地元の「ゆず」ではなく、私と同郷・同窓の「くるり」が歌っている。岸田繁がバリバリの鉄ちゃんだからだろうか?
 
 アップダウンがあるとはいえ、見渡す限りの住宅地だ。
 すると途中バッタがいたり、峠の頂点で猫が寝転んでいたりとか、結構別の動物が元気にしている。

 その丘と丘の間にある谷沿いの道をバスが行きかい、上大岡か磯子の駅とのアクセスを保っており、合計すると一時間に10本近くあるから、人口密度の高さもよくわかる。中田横浜市長の市バス合理化策でも削られなかった路線が何本も走っていた。

 ようやく「岡村」に入ると、ゆず○○といった看板が目に付く。ついでにフィットネスクラブもやっているらしく、ゆずの曲調だとかなり激しい運動になるのではないかと勝手に想像した。ゆず'sブーとキャンプで売り出したらええのに。
 個人事業所のようだから近づいて表札を拝見すると、北川でも岩沢でもなかった。親戚でもないかぎり十中八九は便乗商法であろうと察しがつく。許可をとったのかどうかは知らないが、2人は偉大である。


 なにが、左から右へ過ぎてゆく。

 チャラチャッチャッチャラッチャ~♪

 違う。逆や!
 うわ、なんや!

 「夏色」の歌詞とは違い、ブレーキをかけているか疑わしい早さで、若者が自転車で坂を下って来たのだった。

 『ちょっとは美化してるんやなあ』と、なぜか共感を覚えた。
 まあ、北川・岩沢の当人はちゃんとブレーキをかけていたかもしれないが。

 バス道に戻ってしばらくすると、ロンドンの二階建てバス?と思わしき物体が目に付いた。なかはようわからん荷物でいっぱいになっており、すでに使用されていないのはすぐにわかる。

 岡村の住民はバス好きである。間違いない。…たぶん。


 さらに歩く。


 飛騨あたりの山奥と勘違いしそうな、山をかわす急カーブを過ぎればもう登りはない。…と思っていると、赤くチカチカしたものが見えてきた。

 警察だ。市バスも一台止まっている。

 『何で、ここで止まれないんかねぇ』
 と、警官がバスの運転手を説教している。

 カーブが終わった所のバス停直前で接触事故を起こしたらしい。そのせいで、カーブ内側の1車線が対面通行となり、何台かのバスも通り過ぎていった。

 また、珍しいものをみてしまった。

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 2人の母校?と思われる中学校を後に、バスに乗ることにした。
 が、すぐに来た市バスは「滝頭」行きで、磯子駅に行くかどうかわからない。

 『これって、磯子の駅に行くんですか』

 『(手前の)滝頭止まりですよ… 


  …あ、やっぱ、乗って行ってください。』

 『え?いいんですか?』
 『後ろで接触事故があって、そのバスが磯子駅行きなんですよ。』
 『確かに見ましたねえ。』
 『事故なんだから仕方がありません。滝頭まで行けば、磯子行きの本数も増えますから。』

 運転手のご好意(緊急判断)で、二つ先の滝頭まで無償乗車。

 『あの左手先にみえるのが磯子駅行きのバス停です。』
 と説明を受けると、バスは右折して車庫である「滝頭バス停」へ。

 礼を言って降りると市電の保存館があるようで、もともと横浜市電の車庫であったらしい。
 が、ちょうど午後5時で保存館は閉まったところだった。

 運転手の好意を無にする気はないから、磯子駅まではバスに乗ろうと堀割川沿いにあるバス停まで歩く。


 え?

 京急バスが1時間6本に対して、
 
 市バスはせいぜい3本。

 ここで京急バスに乗ってしまっては、なんか申し訳ない。

 先ほどの市バス運転手にすれば、商売敵に塩をおくる可能性もあったわけだが、そこは公務員。市民の(俺は横浜市民ではないが)利便を優先した判断ができたのだろう。

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 幸い、次に来た磯子駅行きは市バスだった。

 『Suicaは使えませんよ』

 なんや古いバスやのう。
 と先ほどの恩も忘れて思い浮かべていると、千円札を入れても千円分のコインが出て来なかった。

 『おつりが出てくるんですよ』

 …アカン、俺のほうが古いわ。
 

 横浜市交通局に限らず、公営事業は必要ではないかとあらためて考えさせられる。
 
 …また全然違う話になってもうた。

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