経営者も大変なんやぞ!
>高収入層も辛いのだ。確実に精神的苦痛との戦いが続く。
>つまり、人生は長所と短所、リターンとリスクでプラスマイナスゼロだ。
>絶望することはない。
私は、前回の記事でこのように書いたが、もう少し補強したい。
5、6年前だったか、『会社が儲からないのは、社員が働かないからだ』と大手マスコミに発言した、某巨大企業のトップ(当時は社長)がいた。
彼が創業者か、それに準ずる立場ならまだわかる。「せっかく、みんなで食える場を作ってきたんだから、も少し頑張りましょうや」との思いが想像できる。
が、この方は親が関係省庁の高級官僚(次官級)らしく、コネ入社も想像される立場で創業メンバーでもなんでもない。自分がその会社の成立や維持に関わった部分はそれほど大きくはないだろうに、この発言をしてしまっては、いくらなんでも士気が下がろうものだ。
実際、この会社は早い段階から(というか彼の社長就任に前後して)裏サイトが有名で、そこは怨嗟の声で今もあふれている。2人の子持ち正社員が、工場移転で、遠地単身赴任+減給を迫られたりとか、自殺がどうとか。。
が、こんな人格も疑える方は例外だから忘れるとして、経営者とは辛いものだ。
この社長にしても、自分の子飼いぐらいは「食わせてやろう」と腐心したに違いない。
近場の例ではあるが、職人を何人か雇う親方だった私の父も、「人を食わせ続ける」点ではずっと苦慮したらしい。オイルショックの時に減らした体重が、30年経った今でも回復しないほどである。
食わせるためには、仕事を確保せねばならない。同業者から奪わねばならない。あるいは、違う仕事を作るか、危ない橋を渡るか・・・
経営者は大変だ。
が、その保護のまなざしは、やはり正社員どまりであることが多い。
加藤容疑者を始めとする、派遣社員の解雇・雇用の繰り返しを、トヨタを始めとする経営陣の立場で考えてみる。
もちろん、高収益維持=自分の取り分の維持という側面はあるが、長らくともに働いている正社員たちを安定して食わせるための決断と考えれば、それはそれで納得がいく。
関東自動車工業に派遣されていた加藤容疑者が、たとえ自動車短大出身であっても、トヨタイズムを信奉して日々の労苦に堪えられたとは思えない。豊田章一郎名誉会長を拝見しても、すぐには敬礼できないだろう。
少なくとも派遣社員は、心の面ではケアされようもない。
なら、欧米のように、同一職種同一賃金ならまだ納得いくだろうが、残念ながら日本の慣習は、正社員か派遣かで賃金や待遇が違う。小泉政権が製造業への労働者派遣を許した時点で、このひずみがより大きくなった。
その理不尽な待遇差には同情するが、
逆に派遣社員ならではのメリットを加藤容疑者は考えたことがあるのだろうか。
・過剰な責任を持たなくて良い。
・いつでも辞められる。
・出世争いに巻き込まれない。
・見栄を張らなくて済む。
貧しくあっても、気楽な立場ではないか。
でも、加藤君に自分の状況の長所も見ろというのは、いささか酷かもしれない。
「青森時代」動機解明のカギ 秋葉原事件の加藤容疑者(読売新聞)
銀行員の父と主婦の母からの英才教育で、県内トップ高に進学(太宰治の母校らしい)。
が、入学初回のテスト結果で挫折。
おそらく、親御さんには『悪成績でもいいじゃないか』という価値観はなかったのだろう。
結局、「親の言うようにやっても上手くいかなければ面白くない。」との脱力感が、彼の頭を支配する。
で、親に進められた大学進学を避け、自動車関係に携わった後も、
「やっぱりオレは上手くいかない」と、過剰に絶望してしまう。
親の教育×本人の選択×劣悪な製造業派遣の環境= というところが原因なのか。。
さて、先述の我が父は、成績のことを云々することはなかった。
夜学中退後に通信教育で高卒資格取得といった学歴もあるだろう、「わしが色々言える立場にない」との一点張りである。が、なぜか『ミッション系だけは止めとけい』と言われた。
私が大学に進んだ理由は、いつもは云々しないこの父が漏らした一言からだ。
『大介、○○さんのご主人はホンマ頭ええわ。大学出てはるだけのことはある』
町内会の寄り合いから帰った時だっただろうか。
このご主人の長男が私と同級生で、彼は予備校に行くこともなく京大に現役合格している。次男も国立大学に現役合格で、まさに教養人の家系。
「後で劣等感を覚えるぐらいなら、大学行け!」
親父からの暗黙のメッセージと思い、勉強に精進した・・・
わけではなく、大学に行く戦略を練った。
センター試験は受けず、私学の傾向と対策に合わせることで、学習負担を軽減する・・・
○○君の10分の 1も勉強しなかったが、運も手伝って現役合格と相成った。ご主人の通った大学の昼間部である。
(だから、我がサボり性は治らないのだ。「勉強してまで合格するな、あとで違う苦労をしてしまう」という妙な価値観が、このころから始まっている。)
まあ、ものは考えようである。
合格の原因は、気負わなかったからであり、
それ以上に、親から押し付けられた道ではなかったからだろう。
「そういう生き方『も』ありや」
父の日は過ぎてしまったが、親に感謝である。
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