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日米関係。スネ夫思考をやめて、ジャイアンと大人な関係を築く日。

 「赤坂のご意向を伺わねば!」との怒号は、外務省の日常光景だという。
 赤坂とはアメリカ大使館のことで、これを教えてくれたのは臨時職員として働いていた知人だ。

 外務省。まだジャイアンから離れられない、スネ夫のようだ。
 もう若くないジャイアンは、昔のようにスネ夫を助けられないことを自覚していて、『大人になったんだから、普通にやろうぜ』といっている。だが、スネ夫はジャイアンの実力を妄信しているから、以前のように金を出してやり、おだて続けてしまう。
 災難にあっても守ってくれない上に物を買ってくれないジャイアンは、機嫌を損ねたくない親分(というか、用心棒・番犬の類)でも、得意先でもない。ならば、最も親しい幼馴染の関係だけでいいはずだが、この状態が何十年も続いている。

 日本の官僚支配と沖縄米軍  2009年11月15日  田中宇の国際ニュース解説

 要は、金でジャイアンに用心棒を頼むスネ夫の話。部分引用にしては長いけど、わが国がアメリカに属国にされた言うより、進んでそうなって今もそうである経緯がまとめられている。

▼米国の威を借りて自民党を恫喝した官僚

 私が見るところ、日本政府が米軍を買収してまで駐留し続けてほしいと思ったのは、日本の防衛という戦略的な理由からではない(急襲部隊である海兵隊は日本の防衛に役立っていない)。米国から意地悪されるのが怖かったからでもない(フィリピンの例を見よ)。

 日本政府が米軍を買収していた理由は、実は、日米関係に関わる話ですらなくて、日本国内の政治関係に基づく話である。日本の官僚機構が、日本を支配するための戦略として「日本は対米従属を続けねばならない」と人々に思わせ、そのための象徴として、日本国内(沖縄)に米軍基地が必要だったのである。

 対米従属による日本の国家戦略が形成されたのは、朝鮮戦争後である。1953年の朝鮮戦争停戦後、55年に保守合同で、米国の冷戦体制への協力を党是とした自民党が結成された。経済的には、日本企業が米国から技術を供与されて工業製品を製造し、その輸出先として米国市場が用意されるという経済的な対米従属構造が作られた。財界も対米従属を歓迎した。日本の官僚機構は、これらの日本の対米従属戦略を運営する事務方として機能した。

 この政財官の対米従属構造が壊れかけたのが70年代で、多極主義のニクソン政権が中国との関係改善を模索し、日本では自民党の田中角栄首相がニクソンの意を受けて日中友好に乗り出した。その後の米政界は、多極派と冷戦派(米英中心主義)との暗闘となり、外務省など日本の官僚機構は、日本の対米従属戦略を維持するため冷戦派の片棒を担ぎ、米国の冷戦派が用意したロッキード事件を拡大し、田中角栄を政治的に殺した。

 田中角栄の追放後、自民党は対米従属の冷戦党に戻ったが、外務省など官僚機構は「対米従属をやめようと思うと、角さんみたいに米国に潰されますよ」と言って自民党の政治家を恫喝できるようになった。官僚機構は、日本に対米従属の形をとらせている限り、自民党を恫喝して日本を支配し続けられるようになり、外務省などは対米従属を続けることが最重要課題(省益)となった。

 日本において「米国をどう見るか」という分析権限は外務省が握っている。日本の大学の国際政治の学者には、外務省の息がかかった人物が配置される傾向だ。外務省の解説どおりに記事を書かない記者は外されていく。外務省傘下の人々は「米国は怖い。米国に逆らったら日本はまた破滅だ」「対米従属を続ける限り、日本は安泰だ」「日本独力では、中国や北朝鮮の脅威に対応できない」などという歪曲分析を日本人に信じさせた。米国が日本に対して何を望んでいるかは、すべて外務省を通じて日本側に伝えられ「通訳」をつとめる外務省は、自分たちに都合のいい米国像を日本人に見せることで、日本の国家戦略を操作した。「虎の威を借る狐」の戦略である。

 80年代以降、隠れ多極主義的な傾向を持つ米国側が、日米経済摩擦を引き起こし、日本の製造業を代表して米国と戦わざるを得なくなった通産省(経産省)や、農産物輸入の圧力をかけられて迷惑した農水省などは、日本が対米従属戦略をとり続けることに疑問を呈するようになった。だが外務省は大蔵省(財務省)を巻き込んで、方針転換を許さず、冷戦後も時代遅れの対米従属戦略にしがみつき、巨額の思いやり予算で米軍を買収して日本駐留を続けさせ、自民党を恫喝し続け、官僚支配を維持した。

 官僚機構は、ブリーフィングや情報リークによってマスコミ報道を動かし、国民の善悪観を操作するプロパガンダ機能を握っている。冷戦が終わり、米国のテロ戦争も破綻して、明らかに日本の対米従属が日本の国益に合っていない状態になっているにもかかわらず、日本のマスコミは対米従属をやめたら日本が破滅するかのような価値観で貫かれ、日本人の多くがその非現実的な価値観に染まってしまっている。

 今や日本の財界にとっても、米国市場より中国市場の方が大事であり、対米従属は経済的にも過去の遺物だ。だがこの点も、日本のマスコミではあまり議論検討されていない。外務省などによる価値観操作をともなった対米従属戦略は成功裏に続いている。

 ニクソンは沖縄を日本に返還し、日本の自立をうながしたが、日本の官僚機構は逆に、これを米軍基地の存続のために使った。米軍基地の存在は日本人の反米感情が高めかねないので、日本の中でも本土(やまと)と異なる文化を持つ沖縄に、復帰直前のタイミングで米軍の戦闘要員を移転してもらい、基地を本土から遠ざけ、本土の日本人に対米従属を意識させないようにした。「基地は沖縄だけの問題だ」という固定観念が作られた。

 いろいろな情報に接したけど、これまでの歴史的経緯、政治家たちの態度、その他諸々を総合するとこの解釈がしっくりときて、よくまとまっていると思う。

 64年前の敗戦後、まず外交官上がりの幣原・吉田両首相が、『もっと負けっぷりを良くして、軍隊は持ちませんにしてしまえ』と超硬性の平和憲法を支持した。欧米圏の不信感を一気に拭い、後の講和にも繋がっている。
 一方、貿易商上がりの吉田首相側近・白洲次郎は、『貿易立国でないと日本は食えない』と、通商産業省(現・経済産業省)を開設した。国家総動員体制で国民誘導に慣れた官僚たちが、今度は民間企業の輸出入や生産調整まさに貿易から産業全般を指導するという、国ごと商社になる仕組みを完成させた。

 ただし、通商産業省自体はあくまで『商社』なので、利益にならないことはそれが直接の戦勝国であるアメリカであれ、交渉を続けてきた。
 問題は、前者の外務省らしい。

 当然ながら、外交官は戦争や武力手段を使わない問題の解決を最上としている。戦前は民政党内閣の外相として国際的ネームバリューのあった幣原首相も、大物の岳父・牧野伸顕(大久保利通の次男でもある)をもつ吉田茂首相も、1930年代後半からは徹底して冷や飯を食っていた。
 その反動もあってか、せっかく戦争に負けたんだから的な判断にいたったのかもしれない。もっといえば、これほど効率のいい番犬があるかとタカをくくっていただろう。素人まるだしの表現だが、白洲次郎がアメリカ人のイギリスコンプレックスに付け込んで、クィーンズ・イングリッシュで逆に脅し返すなど、敗戦国であっても対等な交渉が今より可能だったかもしれない。それが、なんとなく「アメリカの下に日本」になったのは、やはり、(一部の)日本人の意思であると。

 自らの意思ならば変えられるはずだ。が、田中宇(たなか さかい)氏の分析どおり、国際情勢を分析するオーソリティである外務省が、虎の威を借る狐いや、ジャイアンの威を借るスネ夫の立場を手放さない以上、経済的にもメリットがなくなった属国的ポジションが続いてしまったそうだ。(たった9年前まで、新卒採用試験が他省庁とは別に行われていた影響もあるだろう。→外務公務員採用Ⅰ種試験廃止のお知らせ

 鳩山内閣では、元大蔵官僚の藤井裕久氏を大臣としたように財務省には穏健策をとる一方、厚生労働省には長妻昭大臣を充てたように強硬策をとるケースがみられる。前の記事でも書いたが、省庁ごとに態度を変え、官僚全体の連携を分断する作戦と思われる。
 この視点でいけば、外務省は叩かれる側になる。中国とも親しい岡田大臣が就いたほか、『普天間問題の解決は日米合意を前提とせず』と鳩山首相がぶちまけたのは、対アメリカのどうこうよりも、50年来の流儀で通したい外務官僚を中心とする従米派たちへの猛烈な脅しとしてだろう。→読売朝日日経
 その気になれば大臣は全ての官僚を辞めさせられる。民主党政治家は、ジャイアンを過度に恐れた自民党政治家とは違うはずだ。もっとも、独自外交をやった首相が過去に二度変死した事実(大平・小渕)がある以上、その恐れじたいには同情するが…
 
 また、あれほど民族派的な(つまり米中欧どれにも偏らない自立志向)平沼グループが、国民新党などと合流して、与党の一員となる新党を結成するという。おそらく、民主党の外交路線にも納得がいったということではないだろうか。
 
 対して、アメリカ・オバマ大統領は天皇陛下に90度のおじきをした。→時事産経
 まさに大人の(つまり、もう若くない)ジャイアン。態度をへりくだることを忘れず、それから交渉のテーブルにつこうとしている。

 読みどおり、鳩山内閣の外交行動や関連の発言が、海外ではなく、国内のスネ夫的官僚や単純な従米派をけん制するものであれば、これを支持したい。助けたくもあるが、そこは軽輩の身で間接的な方法しかみつからないので、基本的には見守っていくつもりだ。

 日米両政権が冷静であるならば、既存の日米安保が以前ほどの威力がないことを認識した上で、アジア志向にしても、うまくアメリカの良さを取り入れた外交戦略とってほしい。中国傾斜になり過ぎないというのか、韓国やロシアあたりとも利害が一致する面があればドライに手を組むなど、60年来のスネ夫思考からの脱却、まさに無血の平成維新であることを願う。

 …あ、あの株主日記でも同じ記事に注目されたようで、中華帝国と周辺国にあった「冊封」関係を例に取り上げられた。この「さくほう」、マイクロソフトのIMEで漢字変換できないのはなぜだろう。
 日本が対米従属をやめて、日米安保体制も事実上破棄すると、米国の威を借りて日本を支配していた官僚機構の権力が失われてしまう。…株式日記と経済展望
 

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