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先輩、上司、本社、親会社、中央政府…目上への抵抗戦略いろいろ。

 話題になった、富士通・野副州旦前社長による自身の解任劇への抵抗は、実力者である秋草直之相談役(元会長・社長)の取締役退任で幕が下りたようだ。 

 富士通:秋草取締役退任 混乱収拾なお不透明…毎日新聞
 富士通 野副前社長“解任”取り消し動議の全真相…ダイヤモンドオンライン

 秋草氏が早くに出世して20年以上も取締役で居られた要素には、父が電電公社総裁だった事も含まれる。あくまで「製造業」だった20年前の同社は、当然、公社から電話機発注が収益の大きな部分を占めていたからだ。→参考:富士通、秋草の父…政治に一言!(お父様も辞任に追い込まれたらしい…)
 言い換えれば、日本電信電話公社は、富士通やNECにとって親会社のような存在だった。実際、富士通製携帯電話は、今もNTTドコモのみに供給されている。

 もちろん、一つの勢力に仕えるのもまた戦略だし、秋草氏の経営判断に対して甲乙を語るつもりはない。が、KDDIやSoftBankなど別の大手通信キャリアが育った以上、後身のNTTと密接な関係を続けるメリットは薄れてきているはずだ。
 秋草氏の引退を待っていた富士通関係者の立場に立ってみれば、機を見た?野副氏の反抗がようやく実ってくれた、といったところではないだろうか。実際、クーデターとみる視点もあるようだ。
 野副・富士通前社長の退任はクーデターだった!…Still Laughin'

 いずれにしても、野副氏の行動は、まさに対上司、そして対親会社戦略である。
 では、目上に対する抵抗戦略として当てはめていくと・・・

  1. 受け入れられる条件にあらかじめ優先順位を決めておく。
    →おそらく、取締役復帰が条件ではなかったはず、企業統治(ガバナンス)実態の暴露と是正、その次に自身の名誉回復が目的かと。
  2. 賛否両論状態になっておく。 (一対一の場合は、すぐに賛否を明らかにしない。)…反対一辺倒なら実力行使を受け、賛成一辺倒なら見返り要求の余地もなくただの隷従扱いになる。
    →野副氏の場合は「いったん解任要請(ほぼ命令)は受けたけど…が相当」
  3. 抵抗を収拾したければコストがかかるぞ!と見せ付ける。
    →また東証に睨まれますよの脅し(証券業界で相当嫌われているらしい)
  4. 抵抗を収拾した場合の見返り条件を交渉する。
    →刺し違えで、取締役を辞めさせる。
  5. 完全に要求が満たされる時期が来るのをじっと待つ。
    →野副氏のコメントどおりで、ガバナンス機能が回復・向上するのを待つ。

 自分より大きな立場の相手に、全ての要求を飲ませるのは難しい。今以上の犠牲を払わされることのないよう、天の時が来るまでは一歩一歩進めるのが得策だ。

 実は、国家レベルでも同じことが行われている。

 沖縄県対日本政府、日本政府対米国政府というように、小なるものが大なるものへの交渉戦略は伝統的に存在する。沖縄県知事や首相が、県民や国民の世論に反して、大なるものの要求を受け入れた場合は、たいていの場合、譲歩やある種の権益を引き出している。

 日米安全保障条約(岸信介首相 対米国)

  1. 条件:進駐軍規模未満の米軍常駐なら認められる。
  2. 賛否両論:安保反対勢力(若者・左翼)とそれ以外に分かれる。
  3. 抵抗→収拾:対米感情の悪化、学園闘争の連続→機動隊の出動ほか
  4. 見返り:軽武装の継続による低負担、対米貿易による経済高成長ほか
  5. その後:在日米国基地があり続ける非対称状態が続く。

 沖縄基地問題(大田昌秀~稲嶺恵一~仲井真弘多 各沖縄県知事対日本政府)

  1. 条件:現在ある米軍基地の維持ならまだ許せる。
  2. 賛否両論:沖縄県と名護市や宜野湾市などの意見が分かれる。
  3. 抵抗→収拾:地主による土地収用更新の拒否など→知事の代理署名応諾
  4. 見返り:地域振興策などなど(鉄道の新設、ゆいレールほか)
  5. その後:民主党政権樹立により、国外撤退の可能性も?

 おそらく、民主党小沢幹事長が大挙中国に擦り寄る姿勢をみせたのも、政治的には親会社然とするアメリカ対策ではないだろうか。普天間基地を一気にグアムへ移転するにしても、1.~3.の条件をそろえた上で、いい条件を引き出したほうがいい。鳩山首相が決断を5月まで引き伸ばしているのも、じらしの戦術ともとれる。

 一方、小沢氏自身も部下・生方副幹事長から「上司への抵抗策」を受けている。結果小沢氏側が折れたが、民主党という組織自体も弱らせる結果になったので、生方氏側にとってプラスだったのかどうかはわからない。

 複雑そうにみえる政治情勢も、上司や目上への抵抗戦略として考えれば、割とわかりやすくなる。純粋にトップの人物など、スターリンやヒトラーなどの独裁者しかいないのだから…

参考:
 (ほぼ、ネタ元)合理的選択理論(ラッショナル・チョイス)で読み解く沖縄戦略 属国は「政治ゲリラ戦」をどう戦うのか …廣瀬哲雄
 富士通、秋草相談役退任へ…まさりんの部屋
 普天間基地はグアムに移転するようだ…反戦な家づくり

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